講座「星の王子さまとのちいさなおしゃべり」

日時:全4回 2017年4月29日(終了)、5月27日(終了)、6月24日(終了)、7月22日(終了)(すべて土曜日)
2時~3時半 (一回のみの参加も可能です)
場所:富山県射水市戸破6360 「アトリエセーベー」
(旧小杉郵便局にできたイベントなどを開催する施設Letterの2階。)
アトリエセーベー: https://www.facebook.com/atelier.cb.toyama/
Letter : https://www.facebook.com/letter.kosugi/
参加費:各回2000円
参加申し込み先: アトリエセーベー saluuut(アットマーク)icloud.com

これは『星の王子さま』の日本語訳を取り上げ、この本のメッセージをあらためて読み解いてみる講座です。
あらかじめ『星の王子さま』の一部を日本語で読んできていただき、物語から何が読み取れるか、どんなふうに解釈できるかを考えます。
講座では言葉の後ろにあるものをみつけていきたいと思います。そのために、サンテグジュペリ自身のこと、彼が生きた時代のこと、物語の舞台と考えられるサハラ砂漠のこと、バオバブという木のことなどを私がご紹介します。それらは物語について考えるヒントとなるでしょう。

サンテグジュペリは1900年に生まれました。彼が生きた時代、フランスはサハラ以南アフリカの内陸部を侵略し、抵抗する人々を弾圧し、植民地支配の仕組みを確立していきました。
日本語訳の本を取り上げますが、毎回、その日とりあげた部分で印象的な表現を抜き出し、フランス語ではどのように表現されているかを解説します。フランス語学習の入り口ともなればと思います。
☆☆各回ごとに『星の王子さま』の下の範囲を読んできていただくと、楽しく参加できるでしょう☆☆
第1回(4月29日):1~7章
第2階(5月27日):8~15章
第3回(6月24日):16~21章
第4回(7月22日):22~27章
『星の王子さま』はさまざまな人が翻訳しています。私自身は内藤濯(あろう)が訳した岩波書店のものを使います。でもお好きな訳のものを読んでくださってけっこうです。本をどうしても買わないといけないということもありません。

写真は第2回(5月27日)に会場Letterの大家さんが届けてくださったバラです。講座に合わせるように、お庭に咲いたそうです。『星の王子さま』のバラのモデルとされる、サン=テグジュペリの妻の名にちなみ、みんなで「コンスエロ」と名づけました。

rose

第3回(6月24日)には、『星の王子さま』のなかでもっともよく知られていると思われる、キツネとの出会いの場面を読みました。
これによって王子さまは、バラへのじぶんの気持ちを確認し、精神的に成長するようです。
キツネの言葉は、よく知られている内藤濯訳ではとらえにくいところがある、と参加した人たちと話しました。できれば他の訳もいっしょに読むとより味わい深いと思います。
最後にキツネが言う、「めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ」という言葉は、どんな意味があるのでしょうか?バラの世話は最後までみないといけない。弱い花だから、守らないといけない、ということでしょうか?フランスをドイツの占領から解放し、戦争を終わらせるために北アフリカの戦線へと発ち、偵察飛行に出たまま行方不明になった作者の生涯を考えると、そのようにも読めます。でも、参加した方からは、「バラとの関係でこうむった精神的な傷も引き受けるということも含めた責任のことではないか」という指摘がありました。なるほど。

第4回目(7月22日)が終了しました。
この回では『星の王子さま』の最後の四分の一を読みました。王子さまは前回のキツネとの出会いで精神的に成長したことがわかります。
飛行士や王子さまの発話には、身体のことをたんなる「殻」や「皮」とみる表現があり、ここには身体と魂を別々にみる、作者の死生観が表れているのでは?という意見もありました。
全体にわたって、作者の孤独が感じられる作品だという意見もありました。王子さまは小さな星々をめぐり、大きな地球にやってきたのに、出会うのは飛行士やキツネなどわずかであるという点からです。また、王子さまが砂漠で出会った花は人間について、「根がないものですから、たいへんくろうしているようです」といいますが、ここにも居場所を求めて人間の世界をさまよった作家の孤独が出ているのではという意見がありました。
ちなみに、飛行士と王子さまは砂漠で井戸をみつけますが、それはヨーロッパにあるような井戸でした。講座ではじっさいにサハラ砂漠に掘られた写真を見てもらいました。サン=テグジュペリが書いている井戸とはまったくちがう井戸です。かれにとって、そして19世紀前半のヨーロッパ人にとってのアフリカ、サハラ砂漠とは何であったのかと考えました。

この講座はまたどこかで開きたいと考えています。そうして、さらに読みを深めていきたいと思います。