ニジェール、心に浮かぶ風景 7

「クーデター(その2)」2001年5月8日掲載

クーデターの首謀者はマイナサラ参謀長という人物だった。彼らは大統領警備隊の施設と、スタッドと呼ばれていたコンサートホールで銃撃戦を行い、スタッドで当時の大統領と首相を捕らえた。銃撃戦は三時間ほどで終わり、夕方には平穏になったが、夜間外出は禁止された。
一ヶ月ほどは毎晩装甲車の通り過ぎるが重く聞こえてきた。遠くで銃声が聞こえることもあった。スタッドの壁はしばらくの間大きな穴があいたままになっており、攻撃の規模を思い知らされた。
大統領警備隊の施設は官庁街のはずれにあった。その出入り口の正面近くに協力隊事務所、調整員宅が集中していた。調整員の自宅の塀一枚を隔てたところで装甲車が警備隊に向って攻撃していたという。犠牲者の数は報道されていたよりも多いと噂された。

二月、民政移管宣言が行われた。五月に新憲法が採択され、七月に大統領選挙が行われることになった。マイナサラも候補者の一人だった。
選挙運動中はいろいろおもしろいことを聞いた。ある町に一人の候補者がやってきて、人々にお金を配った、自分の顔が印刷された布地を配った、などなど。通常、服は布を買い、仕立屋で縫ってもらうので、布地は喜ばれる。けれど大統領候補の顔を体中に付けて歩くのか、と思うと私にはあまり良い贈物とは思えなかった。
宣伝カーのようなものにも出くわした。候補者たちにはそれぞれテーマカラーがあり、応援者たちは大勢でそろいの色のTシャツを着たり、布を持ったりしトラックの荷台に乗り、とてもリズミカルなテーマソングを鳴らして走りすぎていった。まるでお祭りだった。
アフリカでは選挙のときに深刻な混乱が起こることが多い。幸い選挙は無事に行われた。どこかで軍隊が不正に手を貸したとも言われたが、予想通りマイナサラ大統領が誕生した。しかし彼もまた1999年4月に暗殺されてしまった。
この国の問題の深刻さをあらためて思う。