ニジェール、心に浮かぶ風景 4

「結婚と女性たち」

私がニジェールのギダン・ヤラ保育園にいた1995年から1997年の間に、園の保育士たちが次々と結婚していった。保育士たちはみな二十代だったが、いろいろな経歴の人がいた。
一番幸せそうだったのはマリアマだった。彼女は結婚していて子どもが一人いたが、私がいた間にもう一人生まれた。生まれてすぐに写真を撮ってあげた。できた写真を見たマリアマは満足そうに笑った。穏やかで優しい人だった。
ゴッシーは声の大きい迫力のある女性だったが、子どもたちのことをよく観察していて、あの子はどんな子、と私に教えてくれた。彼女は結婚しないで子どもを産んでいたが、耳の聞こえない女の子だった。
そんなゴッシーが結婚するという。三人目の奥さんになるのだ。結婚式にも呼ばれた。けれどゴッシーの幸せは長くは続かなかった。妊娠し、赤ちゃんが生まれたと思ったら、離婚させられたと聞かされた。一年と数ヶ月の間の出来事だった。

「結婚しても別の人と結婚したくなったらすぐに離婚してしまうことなんてよくあるのよ」と保育士の一人が教えてくれた。もちろん離婚を言い渡すのは常に夫のほうだろう。今は家に帰って、年老いた親と子どもたちを抱えたゴッシー、胸が痛んだ。女ばかりが損をするような仕組みになっているじゃないか、と腹が立った。
保育士たちがよく口にしたのは「私は白人と結婚したい。ニジェール人はあちこちに愛人を作るけれど、白人はそんなことはない。」という言葉だった。白人だって同じことだよ、と言いたかったけれど、夢だけでも語っていたいかのように思えて、黙っていた。
「はるせ、エイズなんて白人が考えた嘘の病気なのよ」と笑って言った保育士がいた。わざと言ったのか、本当に知らなかったのか。ニジェールの女性の生きる世界は私とはかけ離れすぎていて、怖くなることがあった。でももっと彼女たちのことを知り、話しておくべきだったと今になって思う。今からでも、と思う。